ナコンサヨクのくだものがり(2)


マッパンには、あまいのとすっぱいのがあった。
とってきたばかりのマッパンを、
タオルを頭からかぶっているポーが、
私に差し出した。進められるままに、
そのままかぶりついた。ポーは、ショートカットの女の子で、
はにかみ屋だったが、Tシャツのえりぐりに
真っ黒なサングラスを下げていて、
時にそれをかけると思いがけず鋭い印象になった。
彼女は、マッパンの木にすばやく登り、
腰から下げたビニール袋にオレンジ色の
実をせっせと入れていた。
私はありが幹の上を歩いているのを見ると
、一度は上った枝から飛び降りてしまった。
クン・ポーとおじいさんが遠くから歩いてくるのが見えた。
私は、足をつたってお腹のあたりまで
上ってくるありを払うのに必死になっていた。
運転手のブンが、私にアドバイスをくれた。
ブンの指さす先を見ると、靴下の中にズボンの裾が入っていた。
靴下の中にズボン裾ごと入れてしまうのである。
これは、やってみると、相当まぬけな格好である。
足首が、きんちゃく袋の口のようにすぼんで、相当不格好である。
が、私は一も二もなく実行した。
そうすると、アリはズボンの下にもぐりこめないのである。
これで少し生きた心地がする。そう思って顔をあげると、
花柄の帽子をかぶったクン・ポーが
ラクロスやホッケーの時使うような、
網付きの長い棒を持って立っていた。
気づけばクン・ポーも靴下の中に
ジーンズの裾を入れていた。
そうか、これは果物がりの時の正しい格好なのだ、
生活の知恵なのだ、と私は感心した。
クン・ポーの花柄の幅広の帽子は、
鮮やかなピンクや水色で、とてもかわいらしかった。
首のところでひもを縛っていて、農婦ようだった。
クン・ポーは、そのラクロス棒の網の中に、
マッパンの実を器用に入れていった。
おじいさんは、近くのカノン(ジャックフルーツ)の木の下で、
カマを使って雑草を刈っていた。
日陰だったし、ゆっくりと無理なく動いているようすなので、安心した。

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つづく

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