
|
|
| 先進国で発達した従来のリハビリテーションは、障害を疾病・事故に基づく身体機能不全ととらえ、それを有する人(障害者)の身体機能回復のために設備の整った施設、または障害者宅において、教育を受けたリハビリテーション専門職が治療・訓練にあたるというものです。この方法は途上国では有効ではありませんでした。それは、途上国に於いては、医療機関は都市部に集中し、多くの人が住んでいる農村部には、サービスが届かないからです。また、障害者問題は貧困や社会システムといった社会問題に根ざしていたからです。 障害者問題を解決する方法として多くの途上国の政府や民間団体が、施設中心の方法からCBRへの転換を図っています。ここでは、施設中心型などと対比しながらCBRという用語の簡単な解説を行います。 | |
1:施設中心型(Institution-Based)病院やリハビリテーション施設などに於いて障害者を対象とした治療・訓練サービスの提供をする方法です。施設は特定の目的の為に設置されているため、施設のサービスに合致した対象者だけがサービスを受け、その施設に適さない人はサービスから除外されます。サービスを提供するのは専門職であり、地域社会の人々の参加は喚起されません。 |
![]() |
2:巡回型(Outreach/Home-Based)施設で働く専門職が施設の中ではなく、障害者の家に出向いたり、無医村を巡回してサービスを提供する方法です。地域社会に持ち込まれるサービスは、専門職によってなされます。そのため、サービスに適した人だけが対象になりやすく、治療効果がないと見なされる重度重複障害者などが除外されやすくなります。この方法では、地域社会がその活動に動員されることもあります。しかし多くの場合、サービス提供時のマンパワーとしてであり、分析や、サービス決定、評価を行うことは少ないでしょう。これでは、真の参加とはいえないでしょう。日本で一般的に地域リハビリテーションと呼ばれている活動はこの方法をとっています。 |
![]() |
3:地域社会中心型(Community-Based)この方法は、地域社会の人々と専門職が協力して、問題の分析やサービスの決定、評価を行いながら実施します。地域社会の人々は、問題を解決するために必要な知識や技術、経験などを持った社会資源と認識されています。地域の人々にとって分析などを行うことは、当初は難しいかもしれません。しかし専門職と共同で行いながら、次第にその能力を高めていきます。この方法では、専門職がその役割を十分認識する必要があります。つまり、分析や決定、評価を行うのはあくまでも地域住民であり、専門職は動機付けなど、その支援をするということです。 |
![]() |
|
|
| CBRとは、Community-Basedという方法で行うリハビリテーションのことです。リハビリテーションとは、一般的に障害者本人の身体機能の回復のための治療・訓練を指すと思われています。しかしCBRでいうリハビリテーションとは、そのような狭義の意味ではなく、地域社会開発を指しています。つまり、障害者自身を含む地域の人々が参加した障害者問題解決の過程を通して、地域社会の発展を図ることを目指しています。例えば、障害者は無能力者と思われていた社会があったとします。CBRの活動によって、収入を得て自立した生活ができるようになったとします。すると人々は、障害者が無能力者ではないと理解するようになるでしょう。このことは他の障害者に対する考えをも変え、社会全体が変わるきっかけになるでしょう。CBRが対象とするものは、貧困や差別などを含む全ての障害であり、全ての年齢の人を対象としています。しかし、CBRの本質が十分に理解されず、一つの障害だけを対象にしたり、家庭訪問や巡回活動をCBRと称して行われているところも多く存在しています。 | |
CBRと施設の関係CBRと施設中心型とは全く異なるアプローチです。しかし、CBRでは、施設は不要なものと考えられてはいません。施設やそこにいる専門職もCBRの重要な社会資源の一つと位置づけられています。つまり、地域社会だけでは解決できない専門的な問題(例えば、手術が必要と判断された場合など)は、施設などに協力を求めるようにします。これを照会(リファーラル)システムと呼びます。リファーラルシステムによってCBRの活動が、より効果のあるものになります。 |
![]() |
CBRの効果施設中心型では5〜20%の障害者のみが対象になっていましたが、CBRによって70〜75%の障害者が恩恵を受けられるようになったと言われています。しかも施設の建設や運営に比べ安い費用で行うことができます。そのためCBRは、アジア・アフリカなどを中心に25カ国以上に於いて行われており、そのうち13カ国では政府のリハビリテーションプランの一部になっています。(1993年) |
|
| <参考文献> | |
| 久野研二:Community-Based Rehabilitation これから途上国へ行こうとするあなたへ 日本理学療法士協会・国際部 | |
| 中西由起子:アジアの障害者 現代書館 | |
| WHO ILO UNESCO:1994 Joint Position Paper Community-Based rehabilitation For and With People With Disability.Geneva,1994 | |
| WHO:Community-Based Rehabilitation and The Health Care Referral Services A Guide for Programme Managers.Geneva,1994 | |
ここでは、CBRについて簡単な説明をいたしました。では、CBRはどのように実践されていくのでしょうか?また、CBRを成功させる鍵とは何なのでしょうか? このページは、佐久間誠司(理学療法士、PT)が担当しています。CBRについてのご意見を是非お寄せ下さい! 【CBR研究会】メーリングリストを用いてCBRについての情報交換を行なっています。お気軽にご参加下さい。 |